伊澤修二の志、響き合う 伊那で記念音楽祭

東京藝大シンフォニーオーケストラの演奏と共に市民らが歌った音楽祭第2部
伊那市高遠町出身で音楽教育に尽力した伊澤修二(1851~1917年)の名を冠した第37回「伊澤修二記念音楽祭」が28日、市内で開かれた。市民らによる同音楽祭合唱団と東京藝大シンフォニーオーケストラ(東京都)との4年ぶりの共演をはじめ、地元の小中学生や高校生が出演。地域の偉人をきっかけに実現した市民らと同大のステージが奏でる旋律に来場者はじっと聴き入っていた。
音楽祭は、伊澤修二が東京音楽学校(現東京藝術大学)の初代校長だった縁から同大と連携して開催。市民合唱団や小中学校、地域の音楽団体でつくる実行委員会などが主催する。
第1部は高遠町文化体育館で開催。同市高遠町の小中学校、春富中、高遠高校など約250人が出演し、音楽劇や合唱、合奏を披露した。
第2部は県伊那文化会館に会場を移して、約300人が藝大オーケストラと共演。開幕は「伊那市の歌」を市内中学生合唱団、伊那ジュニアアンサンブルクラブ、藝大オーケストラと一緒に来場者全員が歌声を響かせた。また10~80代の市民ら約100人でつくる同音楽祭合唱団は「歌劇『ナブッコ』より『行け、我が想いよ、黄金の翼に乗って』」を披露した。
観客は数々のステージに惜しみない拍手を送った。伊那市の70代女性は「素晴らしい。子どもたちの将来にもつながると思う」と話していた。
音楽祭合唱団の田中眞郎代表(86)は「良い曲を藝大オーケストラの演奏と一緒に歌えてとても気持ち良かった」と感想。市と同大をつなぐ伊澤修二の縁、子どもたちが参加する意義に触れて「大変恵まれたこと。若い感性で素晴らしい音楽に出合うことで感受性が豊かになると思う」と話していた。