狼煙リレーが特急に勝った 諏訪~山梨

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大急ぎで着火し、のろしを上げる有賀城跡保存会の役員=諏訪市豊田の有賀城跡

戦国武将の武田信玄が通信手段として用いたのろしを再現する「信玄公祭り 狼煙リレー」は28日、諏訪地方から山梨県内に引き継ぐ形で行った。信玄らが本拠地とした躑躅ケ崎館跡(武田神社・甲府市)までの伝達速度をJR中央東線の特急あずさと競う新企画も実施。のろしの方が電車よりも8分早く居館に届いた。

地元の城跡・城址保存会や住民有志らでつくる「狼煙文化調査会」の主催。甲府で開かれている「信玄公祭り」(27~29日)に合わせて企画した。午前11時29分に点火する下諏訪町の桜ケ城跡を起点に諏訪市、茅野市、富士見町内の諏訪地方全9カ所でのろしを上げた。

JR上諏訪駅前で開かれたセレモニーで、甲斐市の保坂武市長は「長い歴史と近代の恵みとの勝負。このような準備をしていただきありがとう」と感謝。金子ゆかり市長は「面白い、魅力的な企画は大歓迎。それぞれの勝負に携わる皆さん、負けないように頑張って」と激励した。

武田信玄に扮した人が足軽の衣装を着た伝令役の3人に書状を渡した「信玄公祭り 狼煙リレー」のセレモニー=JR上諏訪駅前

足軽の衣装を着た伝令役の3人は書状を受けると、午前11時33分発の上り特急あずさに乗車。同駅近くの高嶋城跡(茶臼山)での点火は特急の出発と同時に行い、武田氏の居館までどちらが早く知らせを届けられるかを競った。甲府駅に到着すると、居館までの2.3キロは自転車で向かった。

狼煙リレーで、諏訪市豊田の有賀城跡では同城跡保存会の役員8人がたきつけの枝、ヒノキの青葉などを1メートル近く積み上げて待機。スタートから約2分後、対面の山腹に煙が上がるのを確認すると大急ぎで火をつけ、次の中継地(桑原城址)を見守った。東方の山腹や山頂に次々と煙が立つと、役員たちは「うまくいった。無事に責任を果たせた」(宮下信市会長)と胸をなで下ろし、戦国時代の苦労と工夫に思いをはせていた。

狼煙文化調査会の秋山大一代表=諏訪市=は「それぞれに頑張っていただき、のろしの文化に触れてもらえたのでは。さらに諏訪のたくさんの人に広めていきたい」と話した。

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