2023年10月30日付
「屋根瓦がずれているため点検してあげる」。こんな言葉で住宅の屋根を確認し「このままだと瓦が飛んで近所に迷惑をかける」などと不安をあおって工事契約する「屋根工事の点検商法」に関する相談が増えている。国民生活センターが注意を呼び掛けている▼屋根工事の点検商法の2022年度の相談件数は全国で2885件。18年度との比較で3倍を超えている。豪雨が頻発するなど近年の自然災害の増加に乗じている可能性がある▼こうした消費生活のトラブルで最も注意が必要なものの一つが特殊詐欺(電話でお金詐欺)だろう。特殊詐欺を題材にした映画「BAD LANDS」を見た。原作は、直木賞作家黒川博行さんの著書「勁草」。財産のありそうな高齢者らに巧みな話術で近づく犯罪者集団。逃げる犯人と、追う刑事の姿をスリリングに描き出している▼電話をかけて相手をだます「かけ子」、金を受け取る「受け子」、金融機関から現金を引き出す「出し子」などさまざまな役割の人物がどう絡んで詐欺を働くかが具体的に書かれている▼県警が発信している「ライポくん安心メール」では電話でお金詐欺とみられる前兆電話に対する注意喚起が連日のように続いている。冒頭の点検商法のケースもだが勧誘トークの巧妙さは相当なもの。いつ身に降り掛かるか分からない。自分ごとと認識しなければ、思わぬ落とし穴が待っている。