諏訪湖の水質や生態系 諏訪で生涯学習講演会

「生涯学習講演会」で諏訪湖の自然環境について話す宮原裕一・信州大学理学部教授
諏訪市教育員会は29日、「すわ大昔フォーラム」特別版「生涯学習講演会」を市文化センターで開いた。湖沼高地教育研究センター諏訪湖実験所所長の宮原裕一・信州大学理学部教授(56)が「諏訪湖-自然環境の今~45年の定期観測から見えてきたこと」と題して講演。約50人が参加し、諏訪湖の水質や生態系の変化について学びを深めた。
宮原教授は同実験所が約45年間収集を続けるデータに基づき、透明度や水温、植物プランクトン、ヒシの時期ごとの増減やその理由について解説。「それぞれの要素が互いに影響を及ぼし合っており、その背景には地球規模での温暖化が存在している」と説明した。
湖の管理については「透明度を果てしなく追求すれば、今度は植物プランクトンがいなくなり、魚がすめない湖になる」などと話し、景観上の美しさが必ずしも豊かさにつながらないことを指摘。いずれにしても「正解」はないとしつつ「皆さんにもさまざまな考えがあると思う。これから目指すべき諏訪湖の姿について話し合い、合意を形成してもらえれば」と呼び掛けた。
参加した本山蓮美さん(28)=下諏訪町=は「諏訪湖の近くで暮らす住民としての感覚と、科学的に見た実態との差異を感じた」とし、「バランスが重要なのだと分かった。今日学んだことを周囲の人にも伝えたい」と話していた。