高齢者の生活のしづらさ擬似体験 伊那中

ごみ袋を持って階段を昇降し、高齢者の体の動かしにくさを体感する伊那中学校の3年生
伊那市伊那中学校の3年3組37人が10月31日、お年寄りの生活のしづらさを学ぼうと「高齢者擬似体験」に取り組んだ。体を動かしにくくしたり視野を狭めたりして、ごみ出しをする想定で校内の階段を昇り降り。高齢者の心身の状態を知り、思いやりの心を育んだ。
家庭科の授業の一環。市社会福祉協議会の職員らが講師を務めた。80歳ぐらいの高齢者の体の動かしにくさを感じてもらおうと、関節の可動域を制限するサポーター、視野を狭めるゴーグル、耳当てなど体験セットを身に着け、高齢者の生活環境を体験した。
ごみ袋を持って廊下を歩いた生徒たちは階段に差しかかると「えー怖い」。視界が狭いため「あと何段?」と尋ねる生徒もいて、介助者役は「あと2段だよ」と声掛けしたり、落としたつえを拾ってあげたりしてサポートした。
体の不自由さから高齢者はごみ袋をより重く、集積場も遠く感じる。市社協などによると、ごみ出しの支援を求める相談が多く寄せられていて、その実態や市内の支援組織の取り組みをまとめた映像も紹介して、中学生でもできることを考えるきっかけにしてもらった。
体験を終えた生徒(15)は「歩きにくくて転びそうで、とても大変だった。登下校中にごみ出ししている高齢者を見かけたら『手伝います』と声を掛けたい」。市社協の講師は「高齢者を勇気づけ、元気づけられる力が中学生にはある。街で積極的に声を掛け、住みやすい地域をつくりましょう」と呼び掛けていた。