熊による人身被害防げ 全県一斉緊急点検開始

LINEで送る
Pocket

昨年8月の熊出没地に近接する民家敷地内で、住人とともに誘因物がないかなどを点検する県と岡谷市の職員

飯山市で熊に襲われたとみられる男性が死亡した事故を受け、県が、出没の恐れがある場所などで全県一斉の緊急点検を始めた。諏訪地域振興局と岡谷市は10月31日、昨年度に出没情報が寄せられた同市樋沢地区で実施。11月上旬には富士見町内で行う。隠れがになるような場所や集落への誘因物がないかなどを点検し、人身被害の防止に向けて必要な対策を講じたり助言したりする。

樋沢では昨年8月、民家の近接地に設置していた鹿用わなに熊が掛かり、自力でわなを外して逃げたことが確認されている。この日は振興局林務課と市農林水産課の職員が住人の男性に当時の状況を聞き取り、現場や民家敷地内を見て回った。

敷地内には足跡やふんといった痕跡や、木の上で餌を食べた跡の「熊棚」がないことを確認した。樋沢の集落内でもその後、農作物被害や目撃情報がないことから、林務課は「熊が居ついている感じではない」と推察。敷地内の樹木はしっかり手入れされており、「人間の存在を知らせることが重要。引き続きやぶなどを刈り、見通しをよくしておいてください」と助言していた。

取材に対し、男性は「点検してもらって安心した。家に居る時は大音量でラジオを流している。人間の方から防御しないといけない。手入れも続けたい」と話した。

県内では今年度、熊による人身被害が9月末現在で8件(9人)発生。諏訪管内の人身被害はないものの、目撃は29件あり、うち14件は集落内という。未収穫の柿の実や屋外に放置した生ごみも野生動物を引き寄せる要因になるとして、地域住民に対して注意を呼び掛けている。

おすすめ情報

PAGE TOP