自然を不思議と思う心を 茅野で梶田教授講演

これからの理科教育に期待を寄せる梶田教授
県内小中学校の理科教員でつくる信州理科教育研究会と同会諏訪支部は2日、素粒子の一種「ニュートリノ」の研究でノーベル物理学賞を受賞した前日本学術会議会長の梶田隆章東京大学卓越教授の講演会を茅野市の茅野市民館で開いた。約200人の教員に向け「子どもたちに自然を不思議と思う心を持ってもらえるような理科教育」の実践を期待した。
梶田教授は岐阜県飛騨市神岡町の大規模な観測施設「スーパーカミオカンデ」で、理論上ニュートリノに質量があるとした場合に飛行中に種類が変わると予言されていた現象「ニュートリノ振動」を発見し、ニュートリノが質量を持つことを初めて証明した。2015年にノーベル物理学賞を受賞した。
講演では、質量がないとされてきたニュートリノが質量を持つことを証明するまでの根気強い研究について語り「中高生にも一度は時間を気にせずに何かを調べるような経験をしてほしい。やり抜く力を身に付けてほしい」と述べた。科学研究は国内外の多くの人が共同で研究を進めることから「これからの時代は文系理系問わず英語力は必須。子どもたちにはチームワークで何かを成し遂げる経験を積ませてあげてほしい」と求めた。
最近の心配事として、将来に夢を持ち、楽しみに感じている日本の18歳が海外と比べ極端に低い傾向や、理系の大学、大学院の学生に占める女性の割合の低さを挙げた。「将来に夢を持ち、自分で国や社会を変えられると思う若者をたくさん育てないと理科教育だけでなく日本の教育がうまくいかなくなるのでは」と指摘。「純粋に何かに興味を持ってもらい、そこから夢を追う子どもたちを育ててほしい」と思いを託していた。