2016年12月25日付

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今年の出来事で印象に残ったのは、4月の熊本地震で無残に屋根瓦や石垣が崩れ落ちた熊本城だ。地震の威力のすさまじさとともに、加藤清正以来、堅固を誇った城の変わり果てた姿に痛々しさを感じた人も多かったのではないか▼しかし、本紙上伊那版でコラムを連載する唐澤浩さん=伊那市=は、むしろ「傷を負いながらも、伝統の知恵を体現して傾かず建つ熊本城は、腹を据えて状況に立ち向かう姿勢そのものだ」と感じたそうだ▼地震被害の悲惨さを強調するため、熊本城を繰り返し取り上げたマスコミに対しても一言述べている。唐澤さんは「感情に訴えるニュースも必要である」としつつ、「読者視聴者を一時の感傷へと追い込むような報道」に警鐘を鳴らした。傾聴に値する意見だ▼今年の“主役”、米国大統領選に勝利したトランプ氏も「感情に訴える」ことで人心をつかんだ、といえるかもしれない。移民や経済問題などで過激な発言を繰り返し、現状に不満を持つ有権者に訴えた。「隠れトランプ」という言葉もあったように、人々が普段は隠している露骨な本音が引きずり出されたのか▼理性や抑制をもって課題を解決しようとするより、威勢のよい掛け声で日ごろの鬱憤を晴らす方が、一時的にしろ大衆を引き付けるのかもしれない。今までは「外野」で言いたい放題だったトランプ氏も、来月には合衆国大統領だ。お手並み拝見である。

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