ウクライナのオレナさん プラネタリウム解説

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研修会でプラネタリウムの特別投映を行ったオレナさん(左)=伊那市の県伊那文化会館

ロシアの軍事侵攻により日本に避難しているウクライナ人のオレナ・ゼムリヤチェンコさん(31)が8日、伊那市の県伊那文化会館で開かれた県プラネタリウム連絡協議会の研修会でプラネタリウムの特別投映を行った。ウクライナ北東部ハルキウ(ハリコフ)のプラネタリウムで侵攻の直前まで解説員を務めており、現在、全国各地で特別放映をしているオレナさん。この日は研修の参加者約30人に、長野県や古里の満天の星空を映しながら、平和への願いを込めて解説をした。

オレナさんは地元ハルキウの「ハルキウプラネタリウム」で7年間解説員を務めた。ハルキウは侵攻直後から攻撃にさらされ、施設の一部も破壊された。昨年4月30日に夫と来日し、現在は東京都足立区に滞在している。

来日してすぐに経験が生かせる仕事がしたいと、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に問い合わせ、当時の職員がプラネタリウム業界に呼び掛けた。今年2月の東京都を皮切りにこれまでに各地で13回の投映を行い、活動の輪が広がっている。

研修会には講師として招かれ、2日間の日程に参加した。投映では、この時期に見られる星座や惑星のほか、長野県とハルキウの星空を映し出し、星にまつわるウクライナの神話や伝説も交えて解説。冒頭には写真と共に古里の現状についても話した。

「ウクライナの星空について話せてうれしい。私たちは異なる文化を持ち、考え方も違うが、プラネタリウムを通して同じ地球にいることを伝えたい」とオレナさん。「(ハルキウの)プラネタリウムは稼働しておらず、今後どうなるかも分からない。そのことを考えると心が痛む」と苦しい胸の内を明かしながら、「明るい未来を信じている。ハルキウに戻って仕事を再開できることを祈っている」と話した。

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