デジ田特区、将来展望 茅野でフォーラム

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アーキテクト座談会で語る須田・茅野市DX企画幹(左から4人目)と今井市長(右から4人目)

内閣府と茅野市は8日、スーパーシティ・デジタル田園健康特区フォーラムを同市の茅野市民館で開いた。関係者や市民約200人が参加し、デジ田特区の指定を受ける同市、石川県加賀市、岡山県吉備中央町の首長と特区関連の事業設計を担う有識者「アーキテクト」が現状や将来展望について語り、情報を共有した。

デジタル技術を活用して地域医療、健康に関する課題解決に取り組む同特区について市民の理解を深めるとともに地理的に離れた3自治体や関係事業者同士の連携を促す目的で開いた。3回行われるフォーラムの1回目で、2回目以降はいずれもスーパーシティの指定を受けた自治体で予定しており、デジ田特区指定の自治体で開催するは茅野市のみ。

首長らと3市町のアーキテクトによる座談会で、今井敦茅野市長は、地方都市特有の限られた医療資源で広大な市域をカバーしなければならないことに伴う移動コスト高を課題に挙げた。持続可能な在宅医療と交通手段の確保を規制改革とDX(デジタル技術による変革)によって実現する方向性と具体案を説明した。「地方が抱える悩みを共有し、乗り越えるすべを一緒に考えていきたい」と語った。

特区指定の3自治体では病院や診療所、自治体などがそれぞれに保有する電子カルテ情報などの健康医療情報を標準化し、組み合わせて活用することで迅速で正確性の高い医療の提供に役立てたり、新たな健康増進サービスの創出につなげたりする実証実験が行われている。

民間事業者も新たな医療サービスの可能性を探る実証を3自治体をフィールドにして行っており、茅野市では、夜間などかかりつけ医の診療時間終了後に子どもの体調が悪化した際、夜間診療や救急医療を受ける以外の選択肢として、スマートフォンを使い、医師にリアルタイムでオンライン相談ができるサービスを近く民間業者が国予算を活用して始める。

茅野市のリードアーキテクトで市DX企画幹を務める須田万勢医師は「人間社会は国や巨大企業が情報を収集、独占して社会を管理し、利益を追求する現代から、同意に基づいた情報を自分やみんなを助けるために役立てる社会へと向かうのでは。情報は”統治”ではなく”自治”のために活用される社会であってほしい」と語った。

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