南箕輪小と辰野高 信大農学部で学生と授業

同じテーブルに座った児童、生徒、学生がそれぞれ意見や考えを述べ、環境問題への理解を深めた交流授業=南箕輪村の信大農学部
南箕輪村南箕輪小学校4年3組と辰野高校(辰野町)普通科地域探究コース2年生、信州大学農学部(同村)の学部生や院生が10日、環境問題について一緒に考える交流授業を信大農学部で開いた。児童、生徒、学生が同じテーブルにつき、4年3組が飼育に取り組む絶滅危惧種の黒メダカを通して持続可能な社会を見つめた。異なる年代の交流はキャリア形成にも役立つとの期待も聞かれた。
脱炭素社会を目指すゼロカーボンやSDGs(持続可能な開発目標)について学びを深めている辰野高地域探究コース2年生が7月に南箕輪小4年3組に黒メダカをプレゼントしたことがきっかけ。人間が自然を壊したことで、黒メダカが姿を消したことなどを説明し、交流を深めた。その後、信大農学部の伊原正喜准教授が4年3組に水槽の環境について講義し、今回、小学校、高校、大学合同の交流授業が実現した。
授業は、子どもたちの飼育に依存する水槽のメダカ、石油に依存する人間社会、太陽光に支えられる自然界の三つの循環社会を視点に進行。数人で一組になり、メダカが快適に暮らすための世話や、石油がなくなったらどうなるかなど、さまざまな思いを巡らせながら話し合った。
南箕輪小の児童は「分からないところを学生や生徒の皆さんは教えてくれて、今後どう取り組んだらいいか示してくれた」と笑顔。辰野高の生徒は「年が違うのでいろいろな考え方がある。もっとメダカについても知りたいし、一緒になって環境問題への理解も深めていきたい」と意欲を高めていた。
信大農学部生命機能科学コース3年の宇佐美孝貴さんは「児童、生徒の柔軟な発想を研究に取り入れるいい機会にもなった」。学生が調整役となって、生徒が支えながら児童が考えを述べる姿に、関係者からは「さまざまな年代が集まることで、リーダーシップを育んだり、今後のキャリアを考えることにも役立つのでは」との期待も出た。