2016年12月26日付

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見えないけれども、確かに存在している。たとえば昼間の星や土の中に眠るたんぽぽのように…。童謡詩人・金子みすゞは代表作の「星とたんぽぽ」で、〈見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ〉とうたっている▼モンシロチョウは紫外線の一部を「見る」ことができる。ヒトが色として認識できない紫外線を通して、雌は雄の羽に色模様を見るのだという。同様に紫外線の波長に反応できる鳥たちも豊かな色の世界を持っているのだろう▼科学と技術の進歩によって、見えないものを見ることが可能になっている。天体観測は最たるもの。電波やX線などヒトの目では感知できない可視光以外の電磁波も観測して、次々と宇宙のなぞを解明している。いまや100億光年以上かなたの銀河まで見渡せる▼「重力波」の観測に米国の研究チームが成功し大きなニュースになった。重い物体が動くと周囲の時間と空間がわずかに伸び縮みし、その「時空のひずみ」がさざ波のように伝わる現象だとか。今回はブラックホール同士の衝突で放たれた重力波を観測したという▼重力波は電磁波にはない強い透過力を持ち、物質にぶつかって衰退したり散乱したりすることがないという。ちょうど100年前にアインシュタインが一般相対性理論から存在を予言した重力波が、光では見ることのできなかった新たな宇宙の姿を見せてくれると期待したい。

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