2023年11月12日付
人は1年間にどのくらいの魚介類を食べているのだろうか。焼き魚、煮魚、干物、缶詰などさまざまな形で調理されて日々の食卓を彩る。生きる上で欠かせない栄養素であるたんぱく質が摂取できる重要な食品である▼水産庁は毎月3日から7日までを「さかなの日」とし、特に11月3~7日は「いいさかなの日」として魚の消費拡大に向けて官民協働で取り組みを進めている。昨年制定された、新しい記念日である。先日新聞広告を通じて初めて知った▼制定の背景には、日本人の”魚離れ”が挙げられる。日本食の代表格のすしネタでもあり、身近なのにもかかわらず、国民1人当たりの消費量は2001年度をピークに減少している。たんぱく質源は主に肉類に取って代わっていると専門家は指摘する▼一方で世界に目を向けると、水産物の消費量は右肩上がりに伸びている。中国をはじめとする海外マーケットを見据えれば、ビジネスチャンスは増大しているのだ。だが、過剰な漁獲や気候変動を原因とした水産資源減少など漁業はさまざまな課題に直面している▼青魚に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)など健康面にプラス要素のある水産物を好む人にとって、漁獲減少は見過ごせない問題だ。デジタル技術を生かした「スマート水産業」が注目されている現代。今後もおいしい魚が味わえるよう、漁業を巡る動きにも関心を持ち続けたい。