「二之丸騒動」の舞台裏解説 大久保さん講演

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高島藩のお家騒動「二之丸騒動」の舞台裏を語る大久保智弘さん

諏訪市信州風樹文庫を拠点に活動する市民グループ「ふうじゅの会」が発足30周年を迎え、記念講演会が11日、中洲公民館で開かれた。歴史小説家の大久保智弘さん(茅野市出身)が、約250年前に高島藩で起きた「二之丸騒動」について語り、家老任せの藩政や跡目争い、財政問題が複雑に絡んだ騒動の舞台裏を解説した。

高島城復興50周年記念冊子「高島城のすべて」によると、二之丸騒動は、初代諏訪頼水の弟頼雄から始まる諏訪家(二之丸諏訪家)と、諏訪氏の古い分流である千野家(三之丸千野家)の家老両家による争い。江戸暮らしの6代忠厚は諏訪に無関心だったため、両家が藩政方針を巡って鋭く対立した。結果的に二之丸諏訪家が敗北して関係者が処罰されたが、藩の取り潰しには至らなかった。

長編時代小説「天然流指南」シリーズで二之丸騒動を描いた大久保さんは、騒動の背景には、跡目争いとともに「経済問題があった」と指摘。緊縮財政を推し進めた千野家と、積極財政で借金を先送りする諏訪家の争いだった。忠厚に取り入った諏訪家が一時的に実権を握ったが、幕府に訴え出た千野家が復活を果たしたという。

大久保さんは、定期的に諏訪湖の水害が起きていたことにも触れて「殿様(忠厚)には領民とともに暮らし、苦労して取り組む気持ちがなかった」と語り、高島藩では財政の維持が「争いの種」になっていたことを強調した。

講演会には約60人が参加。ふうじゅの会の小松郁俊会長は「信州風樹文庫は日本に一つしかない文化の宝。心のよりどころ、知識の糧として守り育てていきたい」とあいさつ。諏訪市の三輪晋一教育長は「会が発展し、学びの場が広がれば」と期待を寄せた。

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