2023年11月14日付
石の成り立ちや種類について理解を深める講演会が諏訪であった。「手持ちの石の鑑定をしてくれる」との触れ書きもあって、子どものみならず大人の興味を引き、幅広い世代の受講者が集まった▼講師の大塚勉信大名誉教授が語る石の歴史は数億、数十億年という単位。地球中心部にある物質がマグマの熱に溶かされた後に冷えて固まったり、地殻変動の強い圧力が加わったりして鉱物や多様な組成の岩石が生まれる│と地球規模の話だからスケールが大きい▼人類が到底及ばない壮大さ、自然が生み出す不思議さと美しさゆえか。講演会を企画した市職員によれば石に魅了された「”石好き”な人は結構多い」そうだ。確かに家に天然石を飾ったり、身に着けたりする人をしばしば見掛ける。魔をよけ願を懸ける人もいる▼石について日本では信仰や超自然な力など精神性でみる人が多いが、海外では保険適応の医療と認める国もあるという。石が持つ各種固有の振動が心身の健康改善に有効という。諏訪の精工舎が生んだ世界初のクオーツ腕時計も水晶のその特性を生かした代表格だ▼大人になると石の性質よりお宝としての価値につい関心が向くが、講演会での子どもたちの興味は純粋で目が輝いていた。悠久の時を刻む大地の上でわずかな時を生きる人間たちがいっときでも財と権力を争わずにいたことがあるか。石のつぶてに問われた気がした。