2023年11月15日付

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遅かれ早かれこういう問題が起きると思われた。生成AI(人工知能)を使ったフェイク(偽)動画である。世界的にはウクライナ危機などで既に”実用化”されているようだが、日本では首相がターゲットになったことでにわかに注目を集めることになった▼首相に似せた声でひわいな言葉を言わせ、ニュース番組のロゴも使われていた。この動画を作ったのは大阪府の25歳の男性。混乱させる意図はなく笑ってほしいという目的だったという(読売新聞オンライン)。軽いノリだったようだ▼もっとも、こうした例を引くまでもなくネット上には真偽不明の情報があふれる。改めて情報リテラシー=情報を正しく読み解き、発信する能力の重要性が高まっている。言い古されたことだが、まずは情報をうのみにしないことだろう▼ただ、自然な文章や動画の作成が可能とされる生成AIの普及で見破ることが難しくなっている。人間の目が届かないとなればまさにAIの出番ではないか。毒をもって毒を制すである。もうやっているとは思うが▼誹謗(ひぼう)中傷、いじめ、著作権侵害、不適切動画、特殊詐欺-。ネットにまつわる問題は事欠かない。技術の進歩に社会が追いついていないように感じる。立ち止まって考えるいとまもないほどそのスピードは速い。世の中はよい方向に向かっているのだろうか。口を開けばボヤキしか出てこないアナログ人間である。

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