琳派後期展始まる サンリツ服部美術館

初公開となる尾形光琳の「夢中富士図」(右)=サンリツ服部美術館
諏訪市のサンリツ服部美術館で14日、特別企画「描き継がれる日本の美 琳派」の後期展が始まった。江戸時代に活躍した絵師、尾形光琳(1658~1716年)の「夢中富士図」を含む4点を初公開。同館は「長年にわたり、琳派研究者らに所在不明とされてきた掛け軸だが、近年寄贈を受け公開に至った」としている。
光琳の夢中富士図は1699年作。軽妙な筆遣いで富士山の高嶺を描き、右半分に書を添えている。光琳が西本願寺を訪れ、夢で見た富士山について話し、描いたが、これもまた夢であったと記されている。40歳ごろに画業を志した光琳の初期作品は現存数が少なく、当時の落款、筆跡を知ることができる。
東京大学名誉教授の河野元昭さん=神奈川県=によると、これまで琳派研究者の論文などで存在こそ知られていたが、小さな挿図のみで実見はできなかったという。
隣には江戸後期の絵師、鈴木其一(1796~1858年)の「三保松原図」を初めて展示。夢中富士図と同じ文章や書風から、光琳の影響をうかがい知ることのできる作品で、同図とともに保管され、現代に伝わったとされる。光琳の同図を収めた箱には、其一による書付がある。同館は「光琳が後の世に与えた影響が分かり、琳派研究の発展にもつながる」と話す。
本展は前後期合わせて56点を展示。琳派は、本阿弥光悦や俵屋宗達を祖とし、光琳によって発展。酒井抱一、其一が江戸に定着させた。
午前9時30分~午後4時30分。休館は祝日を除く月曜日。入館料は大人1200円、小中学生400円。問い合わせは同館(電話0266・57・3311)へ。