茅野市の発注公共工事 施工時期平準化に本腰

茅野市の月別工事稼働件数。4~6月は工事が少なく閑散期、7月以降は工事が増え繁忙期。閑散期は担い手の収入が不安定になり、繁忙期は人手不足、資材不足で受注工事への対応が困難になっている
茅野市は、市発注の公共工事で施工時期の偏りを解消する平準化に本格的に取り組む。予算の単年度主義を基調としつつ、工事の閑散期となる年度当初(特に4~6月)と、繁忙期となる年度半ばから後半の差の解消に努める。法改正に伴う国の方針を受け、「債務負担行為の活用」と「速やかな繰り越し明許」の手続きを行い、余裕ある工期設定などで繁忙期でも休みが取りやすく、働きやすい職場環境づくりを業界に促す。
県や市町村の予算は法律に基づく単年度主義が基本。3月議会で次年度の当初予算が可決された後、工事の発注、契約業務を新年度の4~6月に集中して行うため、この間の工事量が減り、7月以降の工事量が増加する。
一方で建設業界は技能者の高齢化や若者の人手不足、資材確保の困難さが深刻化している。政府主導の働き方改革で建設業界に対する労働時間規制の本格的な適用が決まり、法改正で施工時期の平準化が発注者に求められることになった。
債務負担行為は複数年にわたる大規模工事などの場合に将来の財政支出を約束する行為。市は12月に補正予算を組み、1~3月に発注、契約して4月からの着工をしやすくする。年度末で工事が終わらないと見込まれる場合、翌年度に工事を繰り越す繰越明許の手続きは一般的に年度末に行うが、9月や12月に前倒し、工期を年度後期に着工して閑散期を含んだ年度前期に完成させる日程を組むことを可能にする。
目標値は、工事現場稼働件数の4~6月平均を年間の月平均で割って算出する平準化率で設定する。全て工事が平準化された場合に1.00となる平準化率で、市は昨年度0.51だった。市は来年度の目標値を県域と同じ0.75に引き上げたい考え。
市は市内の建設業界各団体から茅野商工会議所を通じて工事時期の平準化と無理のない工期設定の要望を以前から受けてきた。市は今年度から取り組んでいる週休2日工事の実施と合わせ「建設業界の担い手不足対策につながる重要な取り組み。全庁で意識共有を図る」としている。