大谷翔平選手の快挙 記念のペンに諏訪の技術

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諏訪市の丸安精機製作所が手掛けた大谷翔平選手のMVPと本塁打王獲得記念ボールペン。看板技術のローレット加工を駆使している

切削加工の丸安精機製作所(諏訪市豊田)が、米大リーグで2度のMVPと本塁打王を獲得した大谷翔平選手の記念ボールペン「Two Way Star」(MLB公式ライセンス商品)の開発から生産までを手掛けた。格子状に精緻な加工を施すローレット加工を看板技術とし、美しさと使いやすさを兼ね備えた高級文具を製作販売。高い技術力が評価され、大谷選手の記念商品開発に白羽の矢が立った。シャープペンにもできる”二刀流”で、2種類を各1700本限定で販売する。

笠原昇社長の父親で、現会長の安さんが1969年に創業し、オーディオのダイヤルや高級車の内装品など美しさが求められる外観部品を手掛けてきた。無垢の材料から手間をかけて丁寧に削り出す切削加工。自社で磨き上げた技術とノウハウで生み出した製品は近年、航空関連や医療機器など多方面で採用される。

ローレット加工を生かした筆記具の開発に着手し、2017年にはブランド「ローレッツ」を立ち上げた。第1弾として発表した万年毛筆は日本文具大賞デザイン部門で優秀賞を受けた。企画販売会社エンスカイ(埼玉県)から大谷選手のペン開発の話を持ち掛けられたのは2月ごろ。春から試作を重ねてきた。

投打二刀流にちなみ、ボールペン芯(リフィル)と、シャープペンシル芯(メカ)を載せ替えて二通りの使い方ができるように。ローレット加工の技術を駆使し、ねじがないのにキャップが締まる仕組みを採用する。キャップには大谷選手のサインとシリアルナンバーを入れる。予約受注販売で、受注期間は12月25日まで。5月上旬から購入者のもとに届く予定。真ちゅうのMVP記念が9万5000円、本塁打王獲得記念が9万円(いずれも税抜き)で、ケースとペンレストが付く。

エンスカイは「唯一無二の存在の大谷選手のペンを(丸安精機製作所の)唯一無二の技術、超美麗切削加工で作り上げた」。同社は地域ブランドのSUWAプレミアム認定事業者であり、諏訪市は「町工場の快挙」とたたえる。

同社取締役で開発リーダーの長峰偉紘さん(38)は「偉大な選手にふさわしい製品を作ろうと取り組んだ」と感慨深げに振り返り、「ローレッツは世の中に大きな影響を与えられたらという思いで立ち上げたブランド。この事業を成功させることが、愛用者を含め、支えてくれた方々への恩返しになる」と意欲を新たにしている。

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