不登校児童生徒の学習評価指針策定 諏訪市教委
諏訪市教育委員会は、学校や教室に行きづらい児童生徒の学習評価に関するガイドラインを策定し、17日の定例教育委員会で公表した。不登校が増加する中、多様な学びを支援する新たな試み。自宅やフリースクールで学ぶ子どもに寄り添い、個別の評価を通じて学びの意欲や自己肯定感、進学への不安解消につなげたい考え。県教委心の支援課によると、市町村単位のガイドライン策定は「聞いたことがない」という。近日中に市内の学校やフリースクールに周知する方針だ。
学習評価は、各校の教育課程に基づく目標達成や学びに取り組む態度などによって評価される。市教委は「授業」に限定せず、フリースクールや自宅で行う学習活動を出席扱いとして評価しているが、学校によってばらつきが生じる可能性があることから、市としての指針を策定した。
背景には、不登校の増加がある。学校の学習評価は進学にも影響するため、学校や教室に行きづらい児童生徒には将来への不安が募っていた。市教委は「子どもたちの社会的自立に向けた成長を支えていきたい」とし、今年度、ガイドラインの作成に着手。学校やフリースクール関係者の意見を聞きながら学習評価の進め方と留意点をまとめた。
具体的には、児童生徒や保護者の話を聞いて個別のニーズを把握し、評価に関する情報を提供して理解や合意形成を図りながら進める。多様な学習環境を踏まえ、学習の状況を文章記述するなどして、次年度以降の指導改善に生かしていく。学校による評価に抵抗がある児童生徒がいることにも留意し、▽気持ちに寄り添った丁寧なコミュニケーション▽多様な活動と教育課程の関連付け▽自宅でのオンライン授業、ICT活用学習の評価▽学校以外でのテスト実施▽さまざまな方法の評価と指導―を心掛ける。
教育委員からは「学校以外の学びを評価することは必要」などと肯定的な意見が出た。一方で「学校には集団生活や友達づくりを学ぶ良さもある。学校に来ていただく体制づくりを前提に進めてほしい」といった発言もあった。
三輪晋一教育長は「学校やフリースクールの関係者の意見を聞いて策定した。先進的な取り組みになる。実際に運用する中で知恵を出し合いながら、子どもの最大の利益につながる取り組みにしていきたい」と話していた。
県教委によると、県内小中学校の1000人当たりの不登校児童生徒数は36・9人(前年度比7・1人増)で過去最多。内訳は小学校が21人、中学校が66・3人で、クラスに1人の割合という。全国同様に増加傾向にある。