没後50年の藤森栄一 諏訪市博物館で企画展

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藤森栄一が発掘調査した井戸尻遺跡の考古資料などが並ぶ会場=諏訪市博物館

今年で没後50年となる諏訪市出身の考古学者、藤森栄一(1911~73年)の企画展が、市博物館で開かれている。発掘や収集した遺物などの考古資料、写真、研究者との書簡合わせて約250点を展示。業績や人とのつながりに焦点を当て、考古学に大きな足跡を残した生涯をたどる。12月24日まで。

藤森は上諏訪町(現諏訪市諏訪)の商家に生まれ、諏訪湖に沈む曽根遺跡から出土した石鏃(ぞく)に興味を抱いた。旧制諏訪中学校(現諏訪清陵高校)で地理学者の三澤勝衛(かつえ)から学び、卒業後は上京して考古学者の森本六爾(ろくじ)に師事。故郷で諏訪考古学研究所を立ち上げ、諏訪地方の遺跡発掘に情熱を注いだ。約6万点の考古資料が、国の登録有形文化財となっている。

業績の一つに、縄文時代中期から農耕が行われていたとする「縄文農耕論」の提唱がある。会場では、富士見町の井戸尻遺跡で発掘された土器、農耕文化を示した報告書などを紹介。曽根遺跡の保存運動、旧御射山遺跡の保護を求めるビーナスライン反対運動などの資料も並ぶ。

入り口には、中学時代に論文を発表し、頭角を現すきっかけとなった平安時代の遺跡(岡谷市)出土のつぼ、わん、小瓶の3点を展示。戦時中に東京帝室博物館(現東京国立博物館)に寄託されていたことが明らかになり、2021年に里帰りした。

学芸員の児玉利一さんは「地域の考古学、歴史研究を発展させ、多くの研究者を育ててきた郷土の偉人。皆さんに改めて知ってもらう機会になれば」と話す。同館では、企画展についてまとめた冊子を2500部作成。A5判16ページ。展示室に設置する。

関連イベントとして、11月25日に学芸員による展示解説、12月3日に没後50年を記念したフォーラムを同館で行う。17日に藤森栄一賞授賞式と記念講演会が諏訪市文化センターで開かれる。

開館時間は午前9時~午後5時。月曜休館(祝日の場合は翌日)。入館料は高校生以上500円、小中学生150円。問い合わせは同館(電話0266・52・7080)へ。

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