次世代へ伝統文化継承を 羽広獅子舞体験会

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羽広獅子舞を体験する子どもたち=伊那市の羽広公民館

新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行し、半年が経過した。感染対策が大幅に緩和され、コロナ禍で規模縮小などを余儀なくされていた地域の伝統行事も元の姿を取り戻しつつある。一方で、いまだに制約がありながらも、住民の熱い思いで、次世代に伝統文化を継承しようと取り組みを進める地区もある。

「もっと腕を伸ばして」―。獅子頭をかぶった子どもたちが、手にした剣をゆっくりと振りかざす。23日に地元公民館で開かれた、伊那市西箕輪羽広に伝わる「羽広獅子舞」(市無形民俗文化財)の体験会。地元の小中学生11人が参加し、保存会メンバーから所作の基本を教わった。大人に体を支えてもらったり手本を見せてもらったりして一連の動きを体験すると、「獅子頭は重いけれど、動くのは楽しい」。充実した表情を見せた。

羽広獅子舞は1613年に地元の仲仙寺の再興を祝って舞われたのが起源とされ、小正月の伝統行事として400年以上受け継がれている。雌雄一対の獅子による舞い合わせが特長で、区民全員が加入する羽広獅子舞保存会が継承する。1993年には、次世代につなぐため、小学校高学年による「子ども獅子舞」の活動がスタート。秋に開かれる区の一大イベント「羽広ふれあい祭」で披露する期間限定の活動だが、同保存会メンバーの指導を受け、多くの子どもたちが腕を磨いてきた。 だが、新型コロナの影響で、ふれあい祭は2020年から4年連続で中止に。今年も小学生は獅子舞に触れる機会はなく、現在の中学1年生は体験するチャンスを一切失った。現状を憂い、「少しだけでも伝統文化に触れられる機会を設けてあげたい」と、羽広育成会推進員の丸田彩子さんが体験会を企画した。

「獅子舞ができずショックだっただけに、体験できてうれしい」と西箕輪中1年の生徒。「演じる側の大変さを実感できた。将来は古里の伝統を引き継いで、上手に舞えるようになりたい」と誓った。保存会の中心メンバーは30~50代の約20人で、コロナ禍で若手の練習がほぼできていない状態。唐澤正志会長は「来年こそは、子どもたちが練習、発表できる機会を設けられるようにし、伝統をつないでいきたい」と決意を新たにした。

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