2023年11月30日付

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そろそろ年の瀬。僧侶が忙しく走る足音が聞こえてきそうな時期になってきた。テレビの大河ドラマも二条城会見や方広寺鐘銘事件に至り、最終盤へクライマックスを迎えつつある▼石田三成の子孫、秀雄さん(73)を紹介する産経新聞の記事を読んだ。三成は今回だけでなく大河ドラマだけでもさまざまな役者が演じてきた、戦国時代のキーマンの一人。天下分け目の関ケ原の戦いで、徳川家康と対峙(たいじ)した▼三成の長男、重家の直系の子孫で、石田家15代当主という秀雄さん。家康と三成は、決して犬猿の仲ではなかったと話す。互いの能力を認め合い、重家の「家」は家康から与えられたとして、友情は明らかという。関ケ原の戦い後に重家が出家することで助命され家系が存続したとし「この温情があってこそ私たちは存在する」と感謝した▼一方で、関ケ原の戦いは「それまでに積もった日本社会の諸矛盾を解消して、政治経済システムを再構築するための歴史の必然」と強調。両者は友情や共通の国家観を育みながらもそうした思いを排し、戦に臨んだと推測する▼「正義」のため命をも賭す武将の高い志や苦悩の末の決断には感服する。ただ、その決断で多くの兵が戦場に散った面も見逃せない。人はいつになったら他の手段を生み出せるのか。「平和」を手にするため、どれだけの命が必要というのか。今も世界各地で失われる命に嘆息がもれる。

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