2023年12月3日付

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蜂の子、イナゴ、蚕のさなぎ、ザザムシ。伊那谷が誇る昆虫食の”四天王”と言えよう。上伊那の天竜川水系で冬の風物詩ザザムシ漁が解禁された。四つ手網とくわで水生昆虫を捕る様子が本紙でも紹介された▼カワゲラやトビゲラ、ヘビトンボの幼虫の総称で、名前の由来の一説にザーザーと流れる川の瀬にいる虫というものがある。研究家の牧田豊さんによれば、世界中どこにでもいるものの、「冬の天竜川の冷たい水がおいしい虫にしている」。つくだ煮にして食べるのは伊那谷固有の文化だ▼紙面に登場した漁歴40年の中村昭彦さん(79)=伊那市=から以前、自家製のつくだ煮をいただいた。岡谷生まれの自分にとって食するのは初めてだったが、コリ、プリの食感で「うまい」と声を発したのを覚えている。漁期は2月末まで。水温が下がれば身が締まってさらにおいしくなる▼海なし県の信州ではしばしばタンパク源として昆虫食が重宝されてきたと語られるが、ご飯一杯は簡単にいける蜂の子を含め、食文化として根付いた理由は「うまいから」で説明がつくのではないか。昆虫食が根付く地域は人間にとってもいい環境がある-と識者は言う▼ザザムシを捕る人も捕れる量も減る中、地元の高校生が養殖や漁体験、メニュー開発に取り組む。誇るべき文化、美味なる恵み。中村さんも「伝統が消えないようにしたい」と若者の活動を応援する。

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