天竜川水系の整備方針 気候変動踏まえ改訂へ

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天竜川水系の長期的な整備目標を定める河川整備基本方針について、国土交通省の諮問機関・社会資本整備審議会河川分科会は7日、気候変動を踏まえ洪水時の想定流量を引き上げる変更案を了承した。地元自治体が伊那市長谷に戸草ダム建設を要望する三峰川の大幅な流量増などを想定。ダムなど洪水調節機能で対応するとした。改訂後に具体的な整備メニューを盛った河川整備計画が見直される予定で、関係者によると国は戸草ダム建設を見据え調整しているとみられる。

2008年に策定した方針の改訂は初めて。年度内に予定する官報告示で正式に改訂する。整備計画の変更時期について同省天竜川上流河川事務所(駒ケ根市)は「喫緊の課題と捉えていて早急に対応したい」とする。現行の計画は方針決定から1年後に策定され、今回はより短期間で変更される見通しだ。

基本方針は、河川整備をつかさどる全体計画で、天竜川や支流の流量を想定。見直しは気候変動への対応が目的で降水量の増加などを考慮し、県内基準点天竜峡(飯田市)の洪水時の想定最大流量(基本高水、100年に1度の大雨を想定)を現行毎秒5700トンから5900トンにする。

さらに、南アルプスや諏訪湖周辺の雨量増が見込まれ、方針に反映させる天竜峡より上流の支流のうち三峰川と横川川の計画高水(洪水調節機能で抑え込んだ流量)を引き上げる。特に上げ幅が大きい三峰川は現行毎秒700トンから1700トンに変更する。

流量増に対し、ダムなど既存施設の活用や新たな洪水調節機能で対応する。方針の改訂に伴い、整備メニューを盛った整備計画の見直しを予定。戸草ダム建設が、計画に反映されるか注目される。

戸草ダム建設の要望活動を続ける伊那市の白鳥孝市長は、変更案の了承を受け「戸草ダム建設を含めた河川整備メニューの早期見直しと、一日も早い事業化の実現を期待する」とコメントした。

戸草ダムは、同市長谷の美和ダムの上流に計画され、1988年に国が事業に着手。92年に用地交渉が成立した。だが、2000年に県知事に就いた田中康夫氏の「脱ダム宣言」で計画がストップ。再開となれば、浅川ダム(長野市)に続いて宣言以降で県内2例目の建設になるという。

一方、諏訪湖周辺でも近年、湖畔の浸水被害が頻発。湖の水を流す釜口水門(岡谷市)の最大放水量については「気候変動による降水量の増加にも対応できる」(天竜川上流河川事務所)として、現行の毎秒600トンを変更案でも据え置いた。

ただ、下流域で河道整備が進んでおらず、現状は放水量を同430トンにとどめる。同事務所は、下流にある既存の取水堰の改築や河底の掘削などを整備計画に盛り込む形で進め、 釜口水門の放水能力向上につなげたいとしている。

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