2023年12月21日付

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幕末に活躍した四賢侯(しけんこう)の一人で幕政改革を進めた越前・福井藩主の松平春嶽には、名君を支えた有能な家臣が数多くいた。橋本佐内、村田氏寿、中根雪江、横井小楠、由利公正らの名前が挙がる▼家臣の能力の高さはもちろん門閥にとらわれず才ある者を見出した春嶽の人材登用能力は幕末から明治にかけて日本の大きな力となった。産業振興と交易で藩財政を建て直した上、民を富ませた▼そんな春嶽は人を見る目に加え「聞く力」も高かったようで、さまざまな意見を取り入れて政治の刷新を図ったという。「我に才略なく我に奇なし。常に衆言を聴きて宜しきところに従ふ」。皆の言葉に耳を傾け、良いと考えられる意見に従う。「偶作」の七言絶句冒頭部からもその思想が垣間見える▼同じ「聞く力」を掲げて発足した岸田政権だが、こちらはどうも支えが悪いようだ。政治資金パーティーを巡る裏金疑惑で与党自民党に逆風が吹き荒れる。公職選挙法違反の疑いが持たれた法務副大臣や過去4回にわたり税金を滞納した財務副大臣らの辞任ドミノは笑えない喜劇として記憶に新しい▼報道各社の最新の世論調査結果からは近い将来の岸田首相の支持率%割れを予感させる。こんな状態では無理だというのが永田町の常識かもしれないが、有能で支えとなり得る人材発掘のため解散総選挙に打って出る―。とは、こちらも笑えない喜劇に終わるか。

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