2024年1月13日付

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寝付きが悪かった幼かった頃の長女と寝室でよく読んだ絵本の一つが、輪島を舞台にした「あさいち」だった。福音館書店の月刊絵本の1980年1月号として発刊された。海を愛した画家の大石可久也さん(故人)が絵を手掛けた▼とうちゃんとあんちゃんのふねがけえってくる、そこびきあみでいっぺえとってな。ふぐ、いらんけ。こうてくだ、こうてくだ…。語り手は輪島朝市の人々。絵巻物風の物語からは身を切るような寒風、海産物や農産物の香り、歴史ある港町の息遣いや人情が伝わってくる▼4日に初市を控えていた朝市通り。大地震と火災で風景は一変した。焼け跡で大規模な捜索活動が続いている。連絡が取れない多数の安否不明者がいる。映像を見ながら、1人でも多くの命が助かってほしいと祈ることしかできない▼東日本大震災では宮城・気仙沼などの復興の力になりたいと、輪島を含む朝市の団体が義援金を集めた。朝市の絆。気仙沼、勝浦、三崎…。各地の団体が輪島の仲間に思いを寄せて支援活動に乗り出している▼幼かった長女は覚えていないかもしれないが、「あさいち」を読みながら「いつか、行こうね。(登場人物の)ふでさんにも会いに」と約束を交わした。被災した方にとっては今が精いっぱいであり、先を考える状況でないことは容易に想像できる。急ぎません。待ち続けます。人情あふれる輪島朝市の再開を――

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