2024年1月20日付

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「かなり揺れて、とにかくびっくりでした」。北陸の同業の友人からのメールは、いつもの冷静沈着な人柄になく動揺がにじんでいた。現地の惨状にいたたまれず声を掛けると間もなく返信がきた▼「日ごろはほとんど地震のないところなので」と続く。もう一人の友人は住まいが海に近いため大事を取り、元日夕方から高台にある公民館へ退避したという。6歳になる孫が「チューリップ」や「大きな古時計」などを歌って、避難した人たちを和ませたそうだ▼「北陸の人間は辛抱強いんよ」。以前、そう聞いた。現地では経験のない激しい揺れとやまない余震への恐怖、家族や財産を失った悲しみ、続く不便にじっと耐えているのだろう。子どもの歌声に寄り添い合って過ごすさまから、混乱を抑える民力も伝わってきた▼軟弱地盤の諏訪も大きく揺れた。危機意識はもとより高い土地柄だが備えの大切さを一層強く感じたのではないか。諏訪市内の第一精密工業協同組合は数年も前から他地域の工業団地と連携協定を結ぶ準備を進めてきた。今春にも山形県内の団地との締結がかなう▼被災時、他地の同業に生産を託して供給を滞らせない社会的意義もあるのだが、地域によっては「独自技術が取られる」と不信が先立ち、危機感の温度差は大きい。組合の宮坂賢治理事長らは「まずはつながろう」と根気よく説く。この試練から共感の広がりを願う。

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