2017年01月05日付

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昨年末、社会人になってからずっとお世話になってきた飲食店が閉店した。街でうわさを耳にしあわてて店へ足を運ぶと、丁寧な毛筆で書かれた貼紙が「のれんを下ろしました」と告げていた▼長年のお付き合いとはいえ、訪れるのは数カ月に一度。仕事の関係で1年以上空いたこともあった。それでもいつも常連客のように迎え入れてくれ、つまらない話を笑顔で聞いていただいた。前回訪れた際に何となく疲れている様子が気になり、そろそろ顔を出そうと考えていたところだった▼一人で店を切り盛りしてきたママは、アルプスの山並みが気に入り郷里を離れ駒ケ根に移り住んだと聞いた。市郊外に暮らし、農業に励んだり、自然に親しんだりと田舎暮らしを満喫。県外から訪れた客には、自分のふるさとのようにこの地域を自慢していたのが印象的だった▼地方の人口減少が際立つようになり、ここ数年、各自治体が力を入れる移住・定住促進策。移住者が増える一方、高齢になった際の生活を心配して都市部へ戻る人も少なくないと聞く。移住者は身の回りに親戚など身内が乏しく、雪かきや草刈り、移動手段の確保、地区の役など、加齢とともに生活の負担感が大きくなりがちだ▼魅力を感じた土地で長く暮らし続けるため地域はどうあるべきか。店を閉めた理由は分からないが、高齢者対策とともに、改めて地域の課題を突き付けられた気がした。

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