2024年2月2日付

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湯気で曇った窓の中に明かりを認めて、寒さに身震いしながら店に飛び込むと主の笑顔に心がほどける。看板商品のラーメンを頼むと「とりたてのスープだからおいしいよ」と張り切って厨房に立つ▼諏訪インターから国道への道沿いにあって数十年、丁寧な味も値段も変わらない。年の暮れも元日も営業。奥方と口げんかして、売り言葉に買い言葉で新年早々から店を開くハメになったと笑うが、その実は出来る限り鍋の火を落としたくない料理人の気概だろう▼ところ変わって諏訪の浜町。赤ちょうちんが目印の店は50年来の味が体に染み渡る。麺の注文を受けたら一杯分ずつボウルでゆでる形が主ならでは。重い丼を出す手は少しゆっくりになったけれど、一帯のネオンが次々と消えてゆく中で往年の街の風情と味を守る▼飲食店は訪れる人の客層でおいしさが分かる。愛される店は親から孫の代まで客足がつながっている。何十年も変わらない味やサービスは、基本をおろそかにしない誠実さと確かな腕の表れだ。そうした個店が今、インターネット上の競合にもまれて傷ついている▼グルメ情報にある通人の評論は辛口だ。各地ののれんをくぐった舌は肥えていて客観的であろう。ただし、店の評価点は味や構えのみにあらず。地元民としては、景気の逆風を耐えて外食産業を支え、口腹の幸のもてなしを続ける意気と努力も五つ星とたたえたい。

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