「伊那節」後世に 記録映像を制作

LINEで送る
Pocket

動画サイトで配信している伊那節保存会の踊り

上下伊那地域の民踊「伊那節」を後世に伝えるため、伊那市と伊那節保存会の連携による保存・継承の取り組みが進んでいる。同会が受け継ぐ伊那節の踊り「伊那の華」の記録映像を制作し、1月からインターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信を始めた。背景には保存会の高齢化など伝承への危機感がある。記録を残しつつ、新たな担い手の発掘につなげる。

伊那節はかつて「おんたけ」「おんたけ山」とも呼ばれ、江戸時代に権兵衛峠を越えて伊那と木曽を行き交う人々の馬子唄として広がったとされる。地域によって振り付けや歌詞に違いがあるという。市民祭り「伊那まつり」でも用いられる。

今回収録した「伊那の華」は伊那節を舞台で披露するため華やかな所作を取り入れたもので同会独自の踊り。振り付けは1927(昭和2)年に日本舞踊花柳流の2代目花柳壽輔が手掛けた。

1926(大正15)年に発足した伊那節保存会は伊那節の普及に努め、全国各地で伊那の華を披露。大阪万博、伊勢神宮の式年遷宮など幅広く活躍してきた。

しかし2010年ごろから担い手不足が深刻化。会員が引退しても新規の入会数が追い付かず、若者の民踊離れも拍車を掛けた。20年ごろには踊り手が2人に減り、対外的な活動は休止に。現在も練習は続けているが、会員は8人で平均年齢は70代半ばという。

伝統を絶やすまいと理事の杉田信弘さん(77)=山寺=らは記録映像の制作を決断。引退した踊り手たちにも協力を求め、撮影メンバーを確保した。動画から多くの人に関心を持ってもらい、会の存続にもつなげたい考えだ。

伊那の華の記録映像は約5分の内容。踊り、唄い、演奏を見ることができる。併せて「伊那盆唄」「伊那木工小唄」も収録した。

三味線を担当してきた杉田さんは伊那節について「歌詞に伊那の風景が出てくるし、歌を聴くと地域の姿が浮かんでくる」と魅力を語る。一方で伊那節普及のため試行錯誤してきた日々を振り返り「やるせなさがある」と悔しさをにじませた。

杉田さんは動画の配信に「伊那節の良さを分かってもらい、やってみたい人を増やしていきたい」と期待。市は「新年度から伊那節保存会の方などの協力を得ながら、いろいろな角度から担い手づくりや保存活動に取り組みたい」としている。

おすすめ情報

PAGE TOP