萩原空木さんが道中記「熊野古道をゆく」出版

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熊野古道の道中記を出版した萩原さん

熊野古道の道中記を出版した萩原さん

駒ケ根市赤須町出身で元新聞記者の萩原空木(本名・一夫)さん(66)=愛知県春日井市=が、熊野三山に通じる紀伊半島の熊野古道を踏破してまとめた道中記「熊野古道をゆく~伊勢路とその周辺」を出版した。2度のがん発症で声を失い、筆談による取材も含め8年をかけて完成させた労作。いにしえ人の行き交った古道をはじめ、歴史とともに築かれた地域文化などを分かりやすい文体で紹介している。

萩原さんは地元の駒ケ根工業高校卒業後、オリンパス伊那工場に就職。1年半後に退職して早稲田大学に進学すると、卒業後は読売新聞社へ。社会部記者や編成業務を担当した。また「春耕俳句会」同人として俳句にも親しみ、同郷の伊藤伊那男さん主宰の俳句誌「銀漢」にも作品を寄せている。

熊野古道を本格的に歩き始めたのは2008年。新聞社の津支局(三重県)勤務で関心を寄せていたことに加え、宮田村にある妻・洋子さんの実家から江戸時代後期の熊野詣の納経帳を見付けたこともあり、「昔の人と同じ道のりを歩いてみたい」と決意。俳句誌「春耕」に熊野古道の連載を開始した。

2000年に中咽頭がんを患い会話や栄養補給に支障をきたしていたため、取材活動は「きつかった」。さらに11年10月に下歯肉がんが見つかり、入院のため連載は休止となった。手術で声を失ってしまったが、半年の闘病生活を経て退院すると、「生きた証としてどうしても歩き通す」と再び古道へ。筆談により取材を再開し、ついに16年に全行程を踏破し取材・執筆もやり遂げた。

道中記は連載記事を補筆修正して出版。写真をふんだんに用い、幾重にも連なる山道や峠の特徴を体験を踏まえ丁寧に説明しているほか、神社や史跡、尾鷲の「ヤーヤ祭り」、熊野の大花火といった祭り、地域に縁のある人物などについても分かりやすく紹介している。

「声が出ないため取材に苦労したが、どの人も親切に応じてくれてありがたかった。さまざまな思いを抱いて熊野三山を目指した昔の人の気持ちや、古道を整備し歴史を伝える現在の人々の思いに触れることができた」と萩原さん。「伊那谷からは遠いが、熊野詣での旅を、私の本で追体験していただけたら」と話している。

A4変形判、192ページ。2000円(税別)。申し込みは最寄りの書店か出版元の風媒社(電話052・331・0008)へ。

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