もう一つの製糸岡谷の歴史 真綿作り実演

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真綿作りの技術を披露した濱さん

真綿作りの技術を披露した濱さん

岡谷市の岡谷蚕糸博物館は、明治~昭和初期の岡谷の歴史を知る上で欠かせない製糸業の研究と並び、生糸作りには向かない「玉繭」などを使って真綿を作る技術の調査を進めている。真綿作りに従事した技術者、経験者から技能を受け継ぐ取り組みを行い、15日には同市山下町の濱みとしさん(87)を招いて実演してもらった。

同市の前身、平野村は昭和初期まで世界一の生糸生産地として発展した。生糸の品質を高めるために繭をできるだけ均一化されるよう養蚕技術の向上が図られたが、生産量の増加に伴い、生糸生産に向かない繭の量も増えた。2頭以上の蚕が一つの繭を作る「玉繭」はその代表例。当時は、生糸に使わない繭を真綿にし、布団やはんてん、ベストなど、紡ぎ糸を製造、販売する経済活動があった。林久美子学芸員は「岡谷のもう一つの歴史。生糸生産と真綿作りは自転車の車輪のようなもの」と語る。

濱さんは16、17歳のころ実家の隣にあった真綿作りを生業とする工場に勤めた。一時、県外に出たが帰郷し、結婚後は子育てをしながら内職で5、6年ほど真綿を作り、業者に納めた。その後真綿作りからは遠ざかったが、昨年11月に林さんが講師を務めるシルクの講座に参加したことがきっかけで、真綿作りの技術を伝えることになった。

15日は煮た繭を薄く伸ばして約30センチ四方の木の枠に取り付けて重ねていく技術を披露した。縁を薄くし、全体的にむらがないように作る技術は約60年が経過しても健在。濱さんは「細かく言えば昔のようには作れないけど、やっぱり体が覚えているね」と話した。同館は濱さんから学んだ技能や知識も今後の真綿に関する研究や啓発事業に生かす。

21日には真綿の製作体験会を午後1時30分から同館で行う。定員は20人。体験料は1000円。問い合わせは同館(電話0266・23・3489)へ。

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