迫る御柱祭[第3部]ひと模様 4、両角真由美さん

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3歳、5歳、8歳の3人の子どもがいた。地域の高齢化も進んでいた。大きな地震があったとき、わが子を守りたい、お年寄りにも何かできないか。それには法被を着て啓もう、知識を得ることだった。

2004年、消防団は女性消防隊発足の準備を進め隊員を募っていた。夫も消防団員。子どもと地域の高齢者の役に立ちたい―。こんな思いで誘いに応じた。

05年4月に女性消防隊が発足、活動を開始した。前年は責任者、この年から隊長になった。前回御柱祭の10年には男性団員とともに警備に携わり、救護の役割も担った。

山出しでは、木落し坂と砥川右岸の観覧席にいた。御柱を曳行してくる氏子たち。中には女性や子どもたちもいる。坂の上で綱から離れるよう誘導。坂の中腹でふらついていた氏子や、観覧席で具合が悪くなった人に手を差し伸べた。

驚きもあった。ハイヒール姿で観覧席にツアー客を案内する添乗員がいたり、同じバッジを付けている人を探してください―と願い出る観光関係者。立地や状況を事前に勉強して安全面にも気遣いしてほしいと感じたという。

里曳きにも出た。頭をけがした人を救護所に運んだ。「おまわりさんの所に一緒に行こ」。迷子には優しく声を掛けた。

観光客は御柱祭の歴史や日程を聞き、町内の名所旧跡も尋ねる。「女性には声を掛けやすく、“総合案内所”にもなるんですよ」。 

今年の御柱祭には隊員6人が警備を中心に救護にも当たる予定だ。いずれも発足当時からのメンバー。「5年くらいは男性と同じことができるか、もんもんとしながらやってきた。男性と同様にやってみて取捨選択して今の活動になった」。

夏場は消火、冬場は救急手当てを中心に学び、学んだ方法を今度は地域住民に教える。保育園の防災教室では、園児に「地震が来たら頭を守ろう」とも教え、身の安全確保を分かりやすく説明する。

御柱祭もまた「まずは自分たちの安全を確保すること」とする。その上で「皆さんに楽しんでいただけるよう警備、諏訪の御柱にまた来たいと思ってもらえれば」と願う。女性ならではの「縁の下の力持ち」が、氏子や観光客の安全を支えてもいる。

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