2017年01月23日付

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受験シーズンである。大学入試は先日のセンター試験を経て、これからヤマ場を迎える。高校入試も来月はいよいよ前期選抜だ。誰もが乗り越えなければならない試練とはいえ、本人も家族も落ち着かない思いだろう▼だいぶ前のことだが、一橋大学の学長を務めた歴史学者の阿部謹也さんが松本深志高校で講演したことがある。演題は「大学で何を学ぶか」。大学へ行く目的の一つに教養を高めることがあると思うが、阿部さんは大学と教養は関係ないと話した▼教養とは知識ではなく、社会との関係性を自覚することだ、と説いた。だから学歴や職業は関係ない。「自分と社会との関係を自覚的に調整できる人、自分が社会に対して何をなしうるかを意識・自覚している人」。そういう人になるために、一番先にやるべきことは「自分についての勉強」だと語りかけた(「日本人はいかに生きるべきか」朝日新聞社)▼例えば就職面接の場でも、自分の長所短所や目標などについて、内容そのものより、自分の言葉でしっかり話すことができる学生はいいなと思う。そういう学生は阿部さんの言うように、自分はどういう人間で、社会に対して何ができるのか、をじっくり考えてきたのだろう▼大学や高校に入って何を学ぶかは人それぞれだ。しかし、一番難しい研究テーマは「自分とは何か」であり、「社会とどう関係を持つか」ということかもしれない。

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