2017年02月20日付

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「かけなければいけない手間は、省いたつもりでも省かれてはいないんです。ちょっと脇によけただけで、しっかりと残っているんですよ」と話すのは、ある町の若住職。最近はいろいろなお弔いの方法がありますが…と話題にするうち、そんな言葉が出てきた▼葬儀は身内だけで済まそうという家庭も多くなっているという。ただ家族には知られていないけれど、故人の生活の中で人とのつながりは多く、何年かたって県外など遠く離れた場所に住む人から、思わぬ弔意が寄せられることは珍しいことではない、とも▼「手間を省く」というのは、葬儀を言ったのでなく心の持ちようを指摘したもの。手間を省いて簡単に済ませようと思っても、結局、何年かは、お義理に訪れる人へのお返しのことを気にしたりしながら過ごさないといけない▼亡くなったことを聞いて、「あの人に最期のあいさつに行かないと」と足を運ぶ人は、家族が知らなくてもどこかにいる。亡くなった本人が思いも寄らない人の中にも、そんな人がいるのではないか。人と人のつながりとはそういうもので、それこそが人が生きた証しなのだ、という話だった▼「お互いさま」「持ちつ持たれつ」で世話になっていることを思えば、多くの人から知らないうちに手間をかけられていることだろう。知らず知らずに、たくさんの人との縁で生かされていることを改めて知る機会になった。

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