2017年02月24日付

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以前、小紙で言葉の乱れについて書いた。店頭で「予約とかって感じですか」と尋ねられ、意味が理解できず戸惑ったという体験に、読者から同感の声をいただいた▼ある所では学校の先生が「登下校のお見守りをよろしく」と言うのを聞いて、「子どもに尊敬語を使うのか」と住民が首をかしげた。見守りに立つ人への丁寧語のつもりが、逆に受け取られてしまった▼言葉の誤用は筆者も人ごとでない。読者からの指摘で赤面の至り、ということもしばしばだ。かつて岡谷市の作庭家、小口基實さんが「美人は一代で生まれるが、品を育てるには三代かかる」と語ったが、言葉遣いも同じ。生活環境から生きる姿勢まで瞬時に見通されてしまう▼ここで富士見中学校の変化が目に留まる。数年前は、言葉につかえて消え入りそうに話すいわば「普通」の生徒が多かったが、近ごろは場面や相手にふさわしい言葉、敬語を使う子どもが増えた。理由を学校に尋ねると、「先輩から受け継いだ姿勢と、社会に出た後のあり方を意識するキャリア教育の成果か」とのこと▼言葉は生涯、本人について回る表札のようなもの。子ども時代に正しく身につければ宝になろう。かくいう筆者は新人の頃、体調を崩した先輩に「顔色が悪いですね」といたわるつもりが、緊張のあまり「顔が悪いですね」と言って気まずくなった。言葉も思いやりも付け焼き刃は通じない。

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