2017年02月28日付

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移住・定住を担当する自治体職員から聞いた話。ある移住のイベントで来場者にあいさつしようとしたところ「それはうちのお客さんです!」と他の自治体関係者にとがめられたという。ピリピリした対応に困惑しつつ「どこの市町村も必死なんだ」と再認識したそうだ▼人口増加に向けて全国の自治体が何とかわがまちに移り住んでもらおうとしのぎを削っている。それも同じパイを奪い合う構図になっているから、貴重な「お客さん」を横取りされてはたまらないという思いに駆られるのだろう▼お金もわがまちへと呼び掛けるのは「ふるさと納税」である。故郷を離れていて「ふるさとを応援したい」と考える人たちのために始まった。都市部に集まるお金を税収減に悩む地方へ分配しようという狙いがある▼ところが、寄付金に対する返礼品競争が過熱。ふるさとを応援するという趣旨からかけ離れているという批判が出ている。埼玉県所沢市は「制度の理念にそぐわない」と返礼品の提供を終了すると発表した。一方で、「国の制度なのだからしっかり活用していく」という自治体もある▼返礼品の是非はともかく、寄付金の使い道でも競ってもらいたいもの。子育て支援、教育、福祉、産業振興―。地方にはさまざまな課題がある。寄付額の多寡が独り歩きしがちだが、その使われ方にも目を向けるべきだろう。無論、どの税金にも言えることだが。

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