2017年03月04日付

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古民家に代表される古い建物の良さは、そのぬくもりだろう。最近の建物に比べれば採光が少なく、隙間のある構造は、昼間でも暗くて冬は寒い。それでも身を置いて過ごしてみれば、なぜか心が落ち着いてくる▼下諏訪町が、そんな昭和初期に建てられた町内の空き店舗を活用し、移住促進の拠点施設をつくった。改修工事では天井板を外して趣豊かな梁を出したほか、床には古材を敷いた。壁は味のあるしっくい塗り。在来の良さを際立たせる改装だ▼移住希望者が最初に訪れる場所として整備した。だから「入りやすくて居心地が良く、下諏訪の魅力を感じられる施設に」が狙いである。店舗や工房を開きたい―と訪れる町外の若者を温かく迎え入れてきた御田町商店街の一角に建つ。土地柄もまたいい▼地方の問題に詳しい明大教授の小田切徳美さんが、講演で話していたのを思い出した。移住希望者が永住の地を決める鍵は、地域の世話役や移住の先輩の存在だと。人は物質的なものでなく、周囲の人との交流といった目に見えないものに魅力を感じるということだと思う▼時間を重ねた古い建物の利用は、そうした無形の魅力アピールにうってつけだろう。今後は都市部から「地域おこし協力隊員」として運営にあたる人材を募り、多様な目線で移住促進を進める方針だという。施設と人が相まって地域の温かさを発信していく施設になればいい。

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