2017年03月05日付

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暖冬のせいか、駒ケ根市の駒ケ根高原では例年より2週間ほど早くスイセンが咲き始めたそうだ。きょうは、冬ごもりの虫が這い出るころとされる「啓蟄」。花便りが楽しみな時期を迎える▼日本気象協会が発表した桜の開花予想だと、名所の高遠城址公園(伊那市)は4月10日。県内は平年並みという。信州から600キロ近く離れた仙台はどうだろう。遅いように思えて8日である。気になったのは仙台市の高砂中学校にタカトオコヒガンザクラがあるからだ▼2012年に伊那市の東部中学校が2本の苗木を贈った。東日本大震災の津波による塩害で桜の木が枯れてしまったのを知った生徒たちの発案だった。今では多くの花を咲かせ、交流は続く。高砂中の柴田裕之校長は「桜は生徒の心の支えになっている」と語っていた▼震災から間もなく丸6年。福島第1原発事故で古里を離れて暮らす人たちへの差別や偏見を聞くたびに、震災の記憶の風化を思わざるを得ない。被災地でなくても生活に影響を受けた。もとより被災者の気持ちを思い、わが身に置き換えてもいたはず。「喉元過ぎれば」になってはいないだろうか▼「希望(あかり)」「未来(みち)」。高砂中の桜の名前には「希望への『あかり』を灯し、未来への『みち』を示すことができるように」との願いが込められている。決して忘れることなく一歩ずつ前へ―。あるべき姿を教えられる。

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