地名は地域遺産 伊那市教委シンポジウム

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伊那市教育委員会は25日、2013年度から市内各地区で取り組んできた「古い地名調査」の終了を受け、調査の成果をどう発展させていくか考えるシンポジウムを市役所で開いた。市民ら約120人が参加し、パネル討論などを行った。地名研究の専門家は市町村合併や開発によって地名が消えつつある中で「地名は地域の遺産」と強調するとともに、どう後世に伝えていくかが課題と指摘。学校教育に取り入れ、子どもたちの郷土愛の醸成につなげていくことなどが提案された。

地名調査を担当する市教委生涯学習課文化財係の竹松亨さんが「これまでの調査のまとめと今後の方向」と題して報告。調査の意義について竹松さんは「地名にはその土地に住む人々の生活の知恵が含まれ、郷土を愛する象徴にもなってきた」と説明。また、「東日本大震災では先人が地名にさまざまなメッセージを残していたことが分かった」とし、地名の起源や由来を知る重要性を強調した。

13年度から始まった調査には市内82のグループ、約800人が参加。各グループでは調査報告書を作成し、貴重な資(史)料になっているという。竹松さんのまとめによると、同市では明治時代に9990あった小字数が8370まで減少。特に長谷地区では1000以上減っており、うち800ほどが「ダムの底」とし、地域の歴史を物語っていることを指摘した。

パネル討論では「古い地名調査をどう発展させるか」をテーマに、専門家を交えて意見を交わした。伊那谷地名研究会会長の原菫さん=下伊那郡下條村=は「人々は地名を通じて地域の歴史、文化をつないできた。地域誕生の真実であり、遺産」と強調。「研究者ではなく住民自身が地名について語り、学び合うことは社会教育そのものであり、素晴らしい活動だ。全国にもこれだけの資料を作っている地域は少ない」と同市の取り組みを高く評価した。

原さんはさらに「現地に行くと意識が変わる」とし、地名図を作って子どもや親子で訪ね歩けるようにし、次世代にも地名に関心を高めてもらうことを提言。同市西春近公民館長の唐木孝雄さんも「地名を知ることはふるさとを知ること」と指摘し、学校教育への活用を提案した。

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