2017年03月29日付

LINEで送る
Pocket

御嶽山の麓で仕込んだみその味は格別だったそうだ。木曽町の木工家、櫛原文子さんは本紙上伊那版での連載「木曽の谷より伊那の谷へ」を、手づくりみその味比べの話で締めくくっていた▼辰野町出身の櫛原さんが、木曽に住んで新鮮に感じたことをつづった月1回のシリーズ。昨年6月掲載の第1回は、初めて体験したというみその仕込みの話だった。10回目はそのみその出来栄えで、連載にたびたび登場した面々の、みそ談議が面白かった▼多くの小学校の校庭に土俵があり、子どもたちは小学1年生の頃からすり足などの基本を仕込まれ、相撲に親しんで育っている―と、木曽に来て、最初に驚いた話として紹介した7月。9月には多くの犠牲者を出した御嶽山噴火を振り返り、その日7合目にいた自身の体験も書き添えながら、「忘れないで」という思いを記した▼その時期行われているイベントを紹介し、木曽に遊びに来て―と呼び掛けた月もあった。権兵衛トンネルの開通で時間的にはずいぶん近くなった伊那と木曽。櫛原さんが発信する情報で、木曽を訪ねてみようと思った読者もいたかもしれない▼谷が開ける南北からの情報にばかり耳を傾け、どうかすると、中央アルプス越しに吹き降ろす乾いた風ぐらいにしか感じていなかった木曽からの情報だった。木曽の人たちの暮らしや思いが伝わる風を送り込んでもらった10カ月だった気がする。

おすすめ情報

PAGE TOP