諏訪中央病院臨床研修10年 医師が育つ・中

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昼食時に医局で行われるカンファレンス。同世代の医師たちが集まる

諏訪中央病院臨床研修10年 医師が育つ・中

諏訪中央病院が「臨床研修病院」の指定を受けたのは2003年4月。04年度には1期生の研修医3人を受け入れた。「多少不純な動機からかも知れないが、研修病院になるべく医局で議論を重ねた」。01年4月から今年3月まで院長を務めた浜口實・保健医療福祉管理者(67)は、医師確保に向けて教育研修に乗り出した当時を述懐する。

臨床研修制度が導入された04年以降、医師不足が全国で社会問題化した。研修医が研修先を自由に選べるようになり、症例や設備が豊富な都市部の病院などに集中した。研修医が減った大学病院は、各地の関連病院から派遣医師を引き揚げ、産科や小児科、外科を中心に地方の病院は深刻な医師不足に陥っていった。

諏訪中央病院も07年4月、大学派遣医師の引き揚げなどで、分娩の取り扱いを休止する。医師の確保に奔走して約1年後に再開したが、医師がいなくなる影響の大きさを地域社会が思い知らされる出来事となった。

同病院は以前から、故今井澄元院長や鎌田實名誉院長の実績から、地域医療を志す若い医師が集まってはいた。しかし、360床の総合病院に必要な医師数を賄えるほどではない。医師を安定的に確保するためにも、教育研修環境の整備が必要だった。

教育体制は、佐藤泰吾医師(44)=現総合診療科部長=が着任した05年以降、飛躍的に充実する。「総合診療」を前面に打ち出して教育研修の仕組みを整え、大学病院や市中病院との連携を進め、院外講師も招へいした。研修の理念に「八ケ岳のすそ野のように幅広い臨床力をもつ医師を育てる」を掲げ、年代や職種を超えて「学び合う文化」を院内に根付かせていった。

15年度までの研修修了者は計77人に上る。初期修了者44人中23人、後期修了者33人中16人が諏訪中央病院に残った。研修医の約51%が学び働く場として同病院を選んでいる。17年度の初期研修先を決めるマッチング(研修希望者と研修病院の希望順位の組み合わせ)は、定員5人に対して1位希望人数が11人で、充足率は県内最高の220%。県全体の77%を大きく上回っている。

後期研修医の出身地は31都道府県(初期研修医は26都道府県、韓国1)、出身大学は43校(同34校)に及び、地域医療を学ぶ若い医師の”聖地”となった。さらに、研修修了後に他院で専門医や指導医となった中堅や、院外講師のベテランも着任するようになり、各世代の医師が集まる好循環が生まれている。

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