諏訪中央病院臨床研修10年 医師が育つ・下

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初期研修医制度プログラム責任者の佐藤医師

組合立諏訪中央病院(茅野市)が教育研修に取り組む理由や今後の展望について、現在の体制を構築した中心メンバーの一人で、初期研修医制度プログラム責任者の佐藤泰吾医師(44)に聞いた。

―若い医師が多い

未熟な層と経験を持つ層が力を合わせないと良い社会はできません。医者(人)の成長曲線は右肩上がりではない。命を守る医療の現場では経験や知識だけではなく体力も必要で、実力の総和は横一線。到達していないものを年長者から学び、失ったものや失いつつあるものを後進から学ぶ。持っていないことを責めるのではなく、みんなで補い合うことが大切です。

―研修医の教育に熱心な理由は。地域医療にどんな効果がありますか

医療の質を上げるためです。質への転化にはある程度の数が必要で、優秀な人も雑務でつぶしたら能力を発揮できない。若手がいれば上の層も増える。人が育つことで、地域の「ゾーンディフェンス」ができます。救急から在宅まで患者さんの病の経過をきちんと追える構造になっている。それを大事にしている。

―研修医が主治医を担っていますね

患者さんに責任を持たないと良い仕事はできません。当初は処方箋すら出さない状態だった。屋根瓦のようにいろんな世代が折り重なったチームを作り、研修と安全を支えています。一定の長幼の序を守りながら、自由に力を出し合える場を作ってきました。診断で上下関係がひっくり返ることもありますよ。

―医師の若さに不安を感じる人もいます

それは間違いない。社会が未熟さを許さなくなっているから。チームが機能していないことは批判されるべきことですが、若いという一点で批判されることは何もない。患者さんの声にしっかり耳を傾け、足りない部分があれば一生懸命改善していきます。

―研修医や専門医が全国から集まってきます

ここが社会的な辺境にあるからだと思います。社会や医療の問題が見える。地域医療を真剣に考える環境がある。僕たちはピュアレビュー(同僚評価)を採用している。手の内を知る院外のプロ(大学教授ら)に「患者さんのためになることをやってる」と話してもらえたら、人(医師)が集まる。そのための仕掛け、準備をしています。

―これまでは教育の役割を大学が担ってきました

医療という社会資本を次の世代に手渡すために、医者を含めた職業人は教育者でなければならない、それが僕らの基本的な認識です。病院で本来やるべき教育を行い、そこに魅力を感じる研修医が集まり、外へ出て専門医として戻ってきてくれている。

―今後の展望は

花は咲いたら種を落として枯れる。種は別の場所で花を咲かせる。ある局面では「枯れた」と見えても、日本、世界の広い視野で見たら花が瞬き点滅して輝いている。その花たちが諏訪を見ている。それで良しだと思います。

医者も社会に出てからいろんな問題にぶつかりサポートを得て育っていく。奮闘する若者をみんなで支えなければ次の時代はない。未熟さの力、柔軟性、体力、興味といった若者のエネルギーが、諏訪中央病院の力になっています。

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