ふるさと納税 創設した原点に立ち戻ろう

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過熱する一方の“返礼品競争”に歯止めがかかるのだろうか。故郷や応援したい自治体に寄付すると、税が軽減される「ふるさと納税」のことだ。豪華さを競う展開に業を煮やした総務省は今月1日付で、返礼品の調達価格を寄付した額の3割以下に抑えるよう全国の自治体に通知した。創設当時の趣旨と大きくかけ離れた現状を踏まえ、変容したふるさと納税の在り方を見直す機会にしたい。

ふるさと納税は2008年度に創設された。故郷に恩返しする意味や応援したい都道府県や市町村に寄付すると、その寄付額から2000円を除いた金額が住民税、所得税から減額される仕組みだ。

導入当初は、地元産の米や日本酒、肉などの農畜産物が主な返礼品だった。だが、数年前から様相が一変した。換金性の高い商品券をはじめ、家電製品、パソコン、貴金属などの高額商品が次々と登場するようになった。2015年から地方創生の一環で、減税となる寄付額の限度額が2倍に拡大したことも呼び水となった。

返礼品が豪華になるのに比例して寄付総額も急増している。総務省によると、昨年度はついに1650億円を突破し、前年度に比べ4倍へと急拡大した。返礼品の費用に充てる比率も4~5割は当たり前とされ、中には7割に達するケースも出てきている。他の自治体には負けていられない―とばかり、地元とは無関係な高額な返礼品競争を出現させ、寄付の奪い合いに拍車をかけた。

総務省の通達は、際限なくヒートアップする返礼品競争に冷や水を浴びせる形となった。

一部で見直しを検討する動きも出始めている。2015年度の寄付額が25億円余りと全国8位の伊那市は、ふるさと納税の申し込みを17日まで一時停止した。返礼比率が3割を超えているためで、総務省の通達に従って全ての返礼品を見直す方針だ。諏訪市や駒ケ根市などのように、他市町村の動向を横目で見やりながら対応を決める自治体も少なくない。

お金持ちの節税対策になる仕組みも問題だ。本来あるべき制度をゆがめる一因になっている。各自治体は豪華な返礼品と引き換えに寄付を募るのではなく、魅力的な街づくりをアピールして応援者を集めてほしい。制度を導入した原点に立ち戻るべきだ。

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