2017年04月19日付

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古今集にこんな歌がある。「つひにゆく道とはかねて聞きしかど昨日けふとは思はざりしを」(在原業平)。人がいつか死を迎えることは頭で分かっていたが、まさか自分の死がきょうとは思わなかった-。平安時代の歌人も現代人も、死に臨んで思うことは案外同じだろうか▼「まさか」との思いは、天災に際しても同じかもしれない。死者10万人を超える関東大震災や、6年前の東日本大震災、昨年4月14日の熊本地震…。多くの人が「まさか、きょう起きるとは思わなかった」と痛感したに違いない▼「備えゼロ、知識ゼロ、意識ゼロ。地震に遭って、個人はもちろん町全体がパニックに陥った」。1995年1月に起きた阪神淡路大震災の語り部を務める男性の言葉だ。この男性は近隣住民と一緒にがれきの下から多くの人を救助したが、今でも「できなかったこと、悔しかったことが多かった」との思いを抱き続けている▼長野県には糸静線など活断層が多い。南海トラフ地震や東海地震を含めて、地震発生時には大きな被害が想定される。東海地震は「いつ起きても不思議ではない」と指摘されてから、もう40年以上たつそうだ▼阪神淡路大震災の時代より地震に関する情報提供や「減災」の技術は進んでいる。あとは、人ごとでなく、どれだけ自分のこととして意識することができるかだ。被災経験者の生々しい言葉を自らの戒めとしていきたい。

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