2017年04月20日付

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小説家、放送作家、ミュージシャンと幅広く活躍した中島らもさんは、大酒飲みだった。金のない学生時代、飲み屋では注文した1皿の納豆を眺めながら、仲間とひたすら酒を飲んでいたという▼物書きを生業にするようになって酒量はますます増える。やがて飲まないと原稿が書けなくなり、連続飲酒を繰り返すように。アルコール依存を題材にした小説「今夜、すべてのバーで」(講談社文庫)は、依存症で入院した自身の体験がもとになっているという▼本書の中にアルコホーリクス・アノニマス(AA)という組織の名前が出てくる。アメリカで誕生した「匿名・無名のアル中の会」と紹介されている。12ステップで構成されている指導原則の第1は、アルコールに対して「無力であること」を認めることだという▼「ともかく最初の一杯に手をつけないこと」。AAのホームページに断酒を続けるための心構えが記されている。自分一人で実践していくことは難しい。だからこそ、「飲まない生き方」を続けている仲間と出会い、体験を語り、聞き合う場の存在が大きいという▼AA関東甲信越地域委員会の研修会が来月、諏訪市で開かれる。「経験と力と希望」を分かち合いながら酒を飲まない生活を続けているメンバーや家族が集う最大の行事だと聞いた。誰でも依存症になりうることを認識し、ほどほどの距離感で酒と付き合いたいものである。

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