2017年04月22日付

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農村集落ではおなじみの有線放送。富士見町に赴任して初めて聞いた時、のどかで家庭的な雰囲気、地方色の豊かさがたちまち気に入った▼放送は毎日午前6時半に始まり、午後9時まで計4回。行政や地区から行事のお知らせから緊急連絡まで広く利用されている。冬ならまだ暗いうちからの放送も、夜明け前から働き始める農家の多いこの町ならでは。住民にとっては時報代わりにもなっている▼その有線を通してある日、気を引かれる放送が流れた。普段は行事の開催日時と内容などを端的に伝える放送が多い中で、「あいにくの空模様ですが午後のひととき、いかがお過ごしでしょうか」と始まった。耳を傾ければ特殊詐欺の被害防止の呼びかけで、地元の交番所長が自ら原稿を作って放送した▼以来、交番からの放送は「今年に入って初めての年金支給日ですね」、「3時のお茶の時間、ご近所同士、詐欺に遭わないように話題にしてください」などと時節を取り入れて町民に語り掛け、その内容が「あったかい」と好評だ▼電話や電子メールなど直接相手の顔が見えない会話が生活に浸透するにつれ、物言いが一方的になったり、公私の言葉の使い分けが出来ないなどマナーが乱れがちでもある。気遣いの多い対話を嫌って、何でもメールで済ませる人もいる。相手が見えないからこそ、思いやりがことさら大切だと有線放送の声は語り掛ける。

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