2016年3月24日付

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「空気を運んでいるようなもの」。地方の山間部のバス路線の現状について、よく使われる例えだ。車内はガラガラ、ともすると運転手さん1人だけという光景は珍しくない。そこで本数や路線を減らす。すると利用者も減る悪循環に陥る▼もっとも利用者の減少は今に始まった話ではない。マイカーが当たり前になり、電車やバスの利用は大きく落ち込んだ。でも、車を運転できる人ばかりではない。とりわけ高齢化の進んだ山間部では今もバスは重要な足。高齢者の免許返納の推進といった動きを考えるとますます大事になるだろう▼伊那市は来年度、山間部の住民が注文した商品を路線バスに載せて運ぶ試みを計画しているそうだ。空いた座席を有効に利用し、バス路線の維持や高齢者の買い物支援につなげようという実験。あるものを生かす取り組みだ▼まずは公民館などと商店街をインターネットで結ぶ。画面を通して商店主は商品を紹介し、住民はその場で注文する。午前中に注文すると午後には商品がバスで届き、ボランティアらの手で家庭へ配達される仕組み。将来的には山間部の農産物を商店街に運ぶ双方向の流れも模索したいというから、なかなか夢が広がる▼こうした路線バスの有効活用は全国的に広がりつつあるようだ。今は車を運転しバスには乗らないという人も、足の確保はやがてわが身に降り掛かる問題。互いに知恵を絞りたい。

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