2017年04月30日付

LINEで送る
Pocket

進学で東京に出た30年余り前。何よりの楽しみは街なかを歩くことだった。今のようにインターネットがあるわけではなく、地方出身の身には何の知識もない。見るもの全てが珍しく、熱病にかかったように歩いた▼疲れて入った喫茶店がまた面白かった。メニューにこだわる店あり、私語禁止の音楽喫茶あり。本当のコーヒーの味を知ったのがこの時なら、ジャズやクラシックといった異文化の音楽に触れたのもこれが始まり。喫茶店は立ち寄りの場であり、文化の発信地だった▼まち歩き観光が進む下諏訪町で近年、カフェの開店が相次ぐ。空き店舗を改修した朝食の店があれば、クラシック音楽で癒やす店もある。アパートを改装した隠れ家風のたたずまい、風呂上りの客にビールを提供する温泉宿場のカフェ…。個性が光る▼町も「下諏訪カフェさんぽ」と名付けたチラシを作り、まち歩きの楽しみに加えて、と後押しする。旧街道の宿場街などが「三角八丁」と呼ばれる1辺約870メートルの三角形にすっぽり納まる。そんなコンパクトさが特徴の町ならではだろう▼もっと店が増えて、と願う声も強いという。7年前にそば粉ガレットが人気のカフェを出し、町の変化を見てきた立石巧さん(43)は「カラーがみんな違うのがいい。カフェの町としてPRしては」と夢を描く。個々の店が持つ文化を積極的に発信していけば、地域の魅力が一層増すはずだ。

おすすめ情報

PAGE TOP